(スタッフのブログ)
認知行動療法などメディアで取り上げられる各種療法を希望される方がおられます。臨床心理士として現場でカウンセリングをしつつ、スーパーバイザー、後進の指導・養成にかかわってきた印象から、各種療法について書いてみます。あくまで私見です。
臨床心理学では大きく分けて、精神分析的な方向、認知行動療法の方向性、クライエント中心主義の方向性、の3つに分かれるとされますが(さらに細かい分類や技法がありますが)、実際は、大学院での指導教官や、卒後の研修、スーパーバイザーの影響、現場の特徴、そしてその個人のパーソナリティが重なって、その人のやり方、手法というものができてくると思います。
主宰(永井)は、まずは初心者の教育として、〇〇療法というものに偏らず、まずはその学生が出会ったクライエントから、人が人を理解するということ、信頼関係を作っていくことを体験し、学ぶことを重視してきました。まずは偏りなく臨床の基礎-人と人との関係性-を、実践的に体験してから、その上で、個人の関心や現場のニーズによって、特定の療法、技法を学んでいくことがいいと考えています。
当相談室のスタッフは、専門的視点という意味では、精神分析やユング派などを中心に勉強・訓練・指導を体験していますが(無意識、力動論、早期母子関係、治療関係の分析を含む)、あくまで、技法よりも、人間を深く理解することによってつくられる関係性を重視しているため、臨床心理学や精神医学に限ることなく(学会や大学に所属し活動しつつ)、より広く、”人間というもの”を理解するための幅広い勉強、精進を、今日まで続けて来ています。
人のこころはどういうものか、こころの病気とは、または健康とは、そしてこの時代のなかでよりよく生きるとは、などについて、個としての限界はありながらも、実人生と勉強を通して、日々考え、探求してきています。カウンセラーの人間性、人間理解(どのくらい深く理解できるか)に勝る技法はないという考えです。
ちなみに、医療機関で行われることの多い認知行動療法は、症状をターゲットにすることが一般的で、後天的に生じた症状(たとえば何か事件があった後、怖くて電車に乗れなくなる等)に対して有効なことが多いと、個人的には考えています。具体的な症状をターゲットにしているため客観的な測定方法もあり、効果が認められやすいようです。そのほか○○療法、トラウマケア、〇〇セラピスト、といった細分化された資格もありますが、一般的に「○○療法」という習得した技法を前面に出す場合、カウンセラーの人間性がそれほど問われない(影響が少ない)という見方もできます。当相談室では行っておりませんが、医療機関や私的相談機関で、対応されています。