だれか第三者、専門家に相談したくなったとき、どういう機関を選ぶのか、簡単にご案内します。※当相談室スタッフの見解ですので、それぞれのサイト等で、情報を確認されることをおすすめします。

1.医療機関(精神科、神経科、心療内科、メンタルクリニック等)

症状(不眠、抑うつ気分、不安、イライラなど)が強い場合は、まずは医療機関(病院、クリニック)を探しましょう。医療機関は、精神科医(お医者さん)がいて、お薬の処方ができます。お薬への不安がある場合も、お医者さんと相談されることが大事です。

 

・デメリットとしては、医療機関やDrとの相性の問題や、診察時間の問題もあり、お薬の処方や調整が治療の中心になりがちです(そうでない病院もあります)。

こころの症状・問題の多くは、お薬が有効な生理学的側面だけでなく、生活上のストレス、家族・仕事の状況、性格的な特性、年齢などさまざまな要因を、全体的にバランスよくみていくことが大事ですので、診察だけでは時間的にも不十分になることが多いと思われます。

そのため、医療機関では心理士による有料のカウンセリングが併設されているところがあります。医療機関に通院して、診察と並行してカウンセリングが受けられれば、全体的にケアすることが可能です。ただし、どういうカウンセラーにあたるかは「運しだい」となります。

・医師に関して、医療機関のサイトをみて、精神保健指定医の資格をもつ医師であれば、精神科医療の専門的なトレーニングを修了した医師ということがわかります。

・医療機関にかかっているから「重い」という見方は当相談室はしていません。バイオロジカル(生理的、体質的)な要因の大きさ、家族の考えなど、通院の有無にはさまざまな事情が左右しているようです。

 

 

2.公的な相談機関(市区町村など)

お住まいの地域で、子育て相談(乳幼児から)や、教育相談(不登校や発達障がいなど)の相談を無料でおこなっています。精神保健や福祉が関係するような、介護問題、金銭トラブル、暴力(DV)なども相談窓口があると思われます。相談料金がかからず、また実際的な援助へつながりやすいとも思われます。

 

・デメリットとしては、公的な無料サービスのため、対象が限られていることや、とりあえずの問題解決にかぎられ、継続的な相談は難しい場合が多いこと等があります。

・教育相談室/教育相談所に関しては、下記のおもに小中学生の親子に定期的にカウンセリングを行っている自治体が多くみられます。学校からの紹介も多いです。

 

 

3.スクールカウンセラー

小・中学校、高校には学内にスクールカウンセラー(SC)がいますので、お子さんの問題、悩みは無料で相談することができます。

大学生は、大学内の学生を対象とした学生相談が無料であります。

 

・デメリットとしては、学内にあるため、(アクセスしやすく、教員との連携もとりやすい一方で)プライバシーの問題に限界があること、また学校に行かないと受けられないことがあります。

また、月に数回しかカウンセラーが来ていないなど自由度が低い場合があります。

 

 

4.相談室やカウンセリング・ルームなど

当相談室のような、私的な相談機関(●●相談室、心理オフィス、カウンセリング・オフィス、カウンセリング・ルームなど)です。医療機関(病院、クリニック)ではなく、小さな組織や個人経営です。

カウンセラーの質、人間性、専門性が大変に重要です。組織ではなく、個人の、人としての力で成り立っています。

 

・現在では、心理(カウンセラー)の社会的な資格は、臨床心理士か公認心理師となります。臨床心理士は40年以上の歴史をもつ資格で、大学院での実践的訓練が必須となり、資格試験に面接試験があり、かつ5年ごとの更新で、訓練や実践がないと資格が取り消しになる厳しいものです。

いっぽう、公認心理師は2018年にできた国家資格ですが、学部卒で受験でき、試験はマークシートのみで、更新制度もありません。プライベートの相談機関であるならば、担当者が臨床心理士の資格をもっているかどうかは、社会性と実力の一つの目安となると考えます。

 

・カウンセラーの質、人間性、専門性は、信頼関係をつくり相談をすすめていく上で、相性とともにとても大事な要素です。

相談室のサイトを見て、誰が担当するか明確になっているか、またカウンセラーの経歴、著書や論文、経験年数なども判断材料となるでしょう。(個人や知り合いの臨床心理士からの紹介などがあれば、少し安心ですが…。)逆に、医療機関などは、どういうカウンセラーが担当するかは”運しだい”となります。

・デメリットは料金の高さです。(専門家)個人が、目の前のお一人の方を理解するのに、1時間、全エネルギーと持っている力を注ぐことは、非効率的で非経済的なことで、だからこそ意味があるとも考えています。(1対多数、であれば、料金はぐんと抑えられます)。

子育てやお世話と同様に、人が人を理解しあい、関係を作っていくということは、効率性と離れたものが必要だと当相談室では考えます。

・心理学専攻のある大学で、外部の人(親子が多い)を対象とした低料金の心理相談室を設けているところがあります。

大学院生の訓練のための機関なので料金が抑えられており、指導を受けながら心理学専攻の大学院生が担当します。